ケーブルによるプライムタイム番組の無料VOD

Comcastはこれまでいくつかのマーケットで、CBSのプライムタイムの番組のVODのテストをしていた。これは放送された数時間後から、放送されたままのCM付きで99セントで見れるというもの。このトライアルがどの程度の成功を収めたのかは定かではないが、先週また新しいVODの発表があった。
Ad-sponsored TV on demand gets trial run
http://www.businessweek.com/ap/financialnews/D8HI0R6O0.htm

今回のディールでは、General MotorsがスポンサーとしてCMを挿入することで、VODは無料になる。これまでインターネット経由ではABCのように無料のストリーミングでプライムタイムの番組を見ることができたのだが、このトライアルで初めてケーブルテレビ上で無料で見ることができるわけだ。

CBSがNCAAのトーナメントの無料ストリームで、トラフィックのみならず収益の観点からも成功を収めたことは4月30日のエントリーでも触れたが、このケーブルのトライアルも、またABCのストリーミングに関しても同様の結果が出るのではないだろうか。iTunesでの有料ダウンロードに始まったビデオのオンデマンド配信の動きだが、今後はこうした広告付きの無料のVODが主流となって、iTunesでの有料ダウンロードはこれ以上成長しないだろう。

ではインターネット経由のストリーミングと、ケーブル経由のVODではどちらが主流になるのだろうか?

こちらの記事
Americans balk at PC video possibilities
http://www.cleveland.com/living/plaindealer/index.ssf?/base/living/114733662063590.xml&coll=2
にある、The Ipsos Insight Technology & Communications group の調査結果が示唆する通り、メインストリームアメリカ人がPC上でのビデオ視聴を受け入れないのだとするとケーブルのVODに分がある。

ただし、インターネット経由のストリーミングにもケーブルVODにはない利点がある。それはテレビのない場所、すなわちオフィスからでもアクセスできることである。

こちらの記事
ABC Site Buckles as Network Streams First Ad-Supported Shows
http://www.clickz.com/news/article.php/3603341

によると、ABCのストリーミングが始まって間もなくサーバーが応答しなくなるほどのアクセスがあったらしい。これが起こった時間が東海岸時間で平日の朝の6時半と、午後の2時。朝の6時半は別として、平日の午後2時というのはおそらくは多くの人がオフィスからアクセスしていたのではないかと思われる。

ABCが無料ストリーミングの発表をしたその日、ABCのエグゼクティブであるAnne Sweeneyはケーブル業界のカンファレンスであるThe National Showにいた。こちらの記事

Cable Execs Mull ABC's Web Trial
http://www.mediaweek.com/mw/search/article_display.jsp?vnu_content_id=1002344605

にある通り、このABCのアナウンスは一部のケーブル関係者を困惑させたのだが、これもおそらく杞憂に終わる。ケーブルVODとインターネットストリーミングおそらく共存する。ABCはいずれケーブルにおいても広告付きの無料VODをオファーするようになり、いずれにおいてもABCのビジネスにはプラスに働くだろう。4月12日のエントリーでも触れたとおり、おそらくここで争われるのはVODの手段ではなく、視聴者の時間なのだと思う。