たまにはローテクもいい

これまでビデオに関する話題が多かったのだが、今回はデジタルイメージングの話。
最近巷でよく見かけるようになったのが、デジタルフォトフレーム。額縁にLCDが埋め込まれていて、メモリーカードを挿すとスライドショーを見せてくれるやつが一般的なのだが、ちょっとユニークなものを見つけた。

CEIVA Digital Photo Frame
http://www.ceiva.com

このフォトフレームのウリは、離れたところからこのフレームに写真を送れてしまうところ。

実はアイデアそのものはまったく新しいものではない。すでにインターネットに接続できるタイプのフォトフレームはいくつか世の中にある。しかしこのCEIVAのフレームで感心したのは、電話線を使っているということだ。

ネットワーク対応のフォトフレームをおばあちゃんの家に置きたいと思っても、おばあちゃんの家にはインターネットがつながっていない。しかしこのCEIVAのフレームなら、電話線につなぐだけ。CEIVAのサーバーに写真をアップロードしておけば、フレームが自動的に夜中にフリーダイアルの番号に電話して写真をダウンロードしておいてくれるのだ。

しかもこの写真にメッセージをつけておくこともできるから、毎朝おばあちゃんにメッセージつきの子供の写真を送ることだってできる。

ハイテクの世界に身を置いていると、どうしても最新の技術や動向に目が行ってしまいがちなのだが、実は電話線というローテクを使うことで、もっともおばあちゃんフレンドリーな商品ができてしまったりする。テクノロジーというのは、基本的にはenablerであるべきだ。消費者がやりたいことがあって、それを可能にするのがテクノロジー。でもこの世界にいると、時々「消費者のやりたいこと」から発想が始まるかわりに、テクノロジーから発想が始まってしまうことがある。

「こんな新しいテクノロジーがあるから、こんなことができるんじゃないか?」と考えるのはもちろん悪いことではないのだが、そこから生まれたアイデアが果たしてテクノロジーの押し付けになっていないだろうか、本当にそれは消費者がやりたいことなんだろうかっていうことを必ず冷静に考えなければいけない。

このブログでよく話題にするネットビデオの話にしてもそうだが、ネットでビデオが見れるようになったからといって、それが本当に消費者が望んでいるものとは限らないのだ。