Best Buy株急落

Best Buyの株が13%ほど下げている。

Best Buyと言えば全米No.1のエレクトロニクスチェーン。９０年代前半に苦境に陥ったところに、アンダーセンコンサルティングの力を借りて着実に経営を立て直し、もはやCircuit Cityをライバルとも見なさない程までに成長した会社である。今日の株安のトリガーになったのは、SGAの予想外の膨らみ。売り上げの伸びに対してSGAが膨らみすぎたために、前年比でマージンが減ってしまったのである。

Best Buyは最近店舗レベルでいろいろな試みをしている。Geek Squadという機器のインストールやサービスを行う会社の買収。これまでMagnoliaという別の店舗で展開していたホームシアター専門店をBest Buyのメインの店舗内に取り込むstore-in-storeと呼ばれるコンセプトモデル。これらはいずれも、これまでの"Box Mover"と表現されるような売り切りモデルから、店舗内での顧客の体験や、商品に付随するサービスまで含めて提供するという付加価値モデルへの転換への試みである。
これらに向けた投資を積極的に行ってきたのだが、それに対するリターンが得られていないという判断を下された形になる。

しかしウォール街とは厳しいものである。まさにバッドニュース現象と呼ぶべきか。
これらの投資は、したからといってそうすぐに回収できるものではないはずだ。電気機器のデジタル化が進むにつれて、Geek Squadのようなサービスは今後益々需要が伸びるだろうし、店舗内のCustomer Experience向上も、従来のリテール店舗がオンラインと差別化をする上で最も重要なファクターになるはずだ。
Best Buyとは何年か一緒に仕事をしたことがあるのだが、個人的な印象では彼らは非常に優秀な集団である。個人の能力もさることながら、組織として非常にうまく機能している。個人の能力に頼らなくとも、組織として全体をカバーする仕組みができているとでも言うべきか。

Best Buy株をずっとウォッチしながら買いのタイミングを逸してきたが、今回は買いを入れてもいいかもしれない。