DVRのハッカーに$25,000の懸賞金

DirecTVの新しいDVRのハードディスクをアップグレードする方法を提供したハッカーに、$25,000払います。」

こんなオファーを出したのが、WeaKneesという会社。この会社はTiVoのアップグレードを売ることで商売をしてきた会社なのだが、最近DirecTVがTiVoからグループ傘下のNDSのDVRへの切り替えを始めたことで、こちらでも同じ商売をしようと目論んでいるのだろう。ところが、どうもこれが簡単にはできないらしい。

こういった商売が成り立つ背景には、アメリカ特有のマーケット事情がある。

TiVoと言えばDVRの草分け。FCCの前議長のMichael Powell(前国務長官Colin Powellの息子)をして"God's machine"とまで言わしめた、革命的商品だった。この普及に一役買ったのがDirecTV。TiVoの機能を取り込むことでケーブルテレビとの機能面での差別化をはかり、これを武器にケーブルから加入者を奪っていった。
しかし、ケーブル会社側もだまってこれを見ているわけではない。遅れを取りながらもケーブル会社も独自のDVRの提供を始め、この初期費用をタダにしてしまうことで対抗した。ケーブル会社が機器を負担し、ユーザーからは毎月$10程度のリース料を取るだけである。ケーブル会社はなぜこれで元が取れるのか?結局DVRサービスに加入したユーザーは、他のユーザーに比べて契約解除率が低くなり、またケーブルにとってより付加価値の高いデジタルケーブルのサービスへの転向を促すことにもなるからである。
結局その後DirecTVもリベートを付けるなどして、ある程度の負担を強いられることになった。

こうなると、提供する機器そのものの値段をどうしても抑えざるをえない。結果としてアメリカ市場に出回っているDVRの多くはHDDのせいぜい80GB-160GB、DVDレコーダーもなしというスペック的にかなり見劣りするものになってしまっているのが現状なのである。