MovieBeamが新サービス発表

2月8日に書いたMovieBeamの話だが、早速新サービスの発表があった。サイトも既に復活している。
http://www.moviebeam.com/

前回は試験的な意味もあって都市が限定されていたが、今回は全米29都市での展開で、人口の約半分をカバーすることになる。

今回の目玉はHDコンテンツの配信。
SDのコンテンツでは他にもっと魅力的なサービスが多数あるが、ことHDに関してはまだコンテンツサービスはほとんどないのが現状だ。サービスの差別化をHDに持ってきたのは現時点での戦略としては納得できる。

しかし、これで今回は成功するかというと、個人的にはやはり疑問だ。

まずは初期費用の問題。
新しいサービスでは月額の料金がなくなったかわりに、リテールで専用のSTBを$200出して買う必要があり、さらに$30のActivation Feeも払わなければならない。これだけでまず$230の出費。これに加えて一本あたり$2から$5の課金となる。(最初から$230にしないで$30のActivation Feeを設けているのは、おそらく返品をしにくくさせるためだろう。)

DVRのケースの話をこれまでいくつか書いてきたが、結局TiVoがオペレーターのDVRに負けたのはそのサービスや機能の良し悪しよりも、初期費用の負担の違いが大きかった。大画面でHDを楽しみたい客層には$230はそれほど大きくないのかもしれないが、月額$10のNetflixやBlockbuster Onlineのほぼ2年分のサービス料と考えると躊躇するのではないだろうか?

次に、セレクションの少なさの問題が全く改善されていない。
100タイトルがプリインストールされていて、あとは週代わりで10タイトルが入れ替わるというのは前回のサービスと同じ。ロイターの記事によると、ビデオレンタルの85%が、最新の50−60タイトルで占められているというから、実用上はそれほど多くの人が不満に思うこともないのかもしれないが、やはり5万5千タイトルを持つNetflixと比べてしまうと貧弱に見えてしまう。

さらに、差別化のカギとなるHDの映画に関しては、当初はディズニーとタイムワーナーのものに限定されるというのだから、これを目当てにしている人にとってはかなりのマイナス要因だ。

最後にHDのアドバンテージに関して。
これが差別化の武器として通用する期間はそれほど長くはないだろう。Netflixは既にBlu-rayHD DVDが発売され次第これらをサポートすることを表明しているので、あとはプレーヤーが普及するまでの時間の問題である。それまでの間にある程度加入者を確保できたとしても、このサービスに加入するようなアーリーアドプターの客層こそまさしくすぐにプレーヤーを買ってしまう人たちである。

ということで、前回のサービスよりは話題にはなりそうだが、実際には長続きしないのではないか?というのを個人的な予想としておこう。