テレビ番組のDVD化がもたらすタイムシフト
梅田望夫さんのブログから
「24」シーズンIからIVまで、ようやく全部見終わりました
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20060220/p1
最近氏の著書である『ウェブ進化論』を読み終わったばかりということもあって、週末から氏の過去のブログや読者の感想などをいろいろ読み漁っていたのだが(こちらはまた稿を改めていろいろ書こうと思っている)、今日のこのエントリーを読んでまったく違うところで最近考えていたことにピンとくるものがあったので、今日はそのことについて書いてみようと思う。
テレビの人気番組のDVD化は近年急速に増えてきている。2001年には$400,000しかなかったマーケットだが、2004年には$2.3 billion、2005年には$3.3 billionと、DVDソフトの売り上げの20%を占めるまでになった。
DVRやダウンロード販売によるテレビ番組のタイムシフトがショートタームのタイムシフトだとすれば、テレビのDVDタイトルはロングタームのタイムシフトと言えるのではないだろうか、というのがぼんやりとした考えだった。ネットワークの人気シリーズは必ずDVDになることがもはやわかっているのだから、これが放映されている期間中にわざわざ次のエピソードを1週間じらされて待つこともなく、後でまとめてDVDを買って見てしまえばいいや、と思う梅田さんのような人たちが増えてくるのではないだろうか?そんなことを考えていたのだ。
以下で先週のネットワーク番組の視聴率トップ20を見ることができる。
http://tv.yahoo.com/nielsen/
このリストを見ると、DVDでは見ることの出来ない番組というのが、実はほとんどないことがわかる。
ダウンロード販売をやるネットワーク側の本音は?
DVRによるタイムシフトが与える影響のうち現在心配されているのはCMスキップである。こちらはネットワークからしてみれば、広告収入にマイナスのインパクトをもたらしえる要因であり、儲かる話ではない。ニールセンもDVRを含めた視聴率調査を最近になって始めている。
しかしDVDによるタイムシフトに関しては、年間$3.3 billionという売り上げがあるにも関わらず、少なくとも現時点ではファーストランのテレビ放映の広告料、あるいはその後のシンジケーションのライセンス料に影響が出てきているというような話は聞かない。ということはこのDVD販売による利益というのは、ネットワークにとっては純粋にプラスに働いているはずである。
ではなぜここの売り上げを犠牲にするリスクを伴うダウンロード販売をやるのか?
おそらくこれは違法ファイル交換対策だろう。音楽の時は合法ダウンロードサービスがなかったことが、あれだけ違法ダウンロードを蔓延させた原因だと言われた。ネットワークはテレビ番組に関して少なくとも合法ダウンロードオプションを用意することは必要だったのであり、iTunesやGoogle Video Storeがそのプラットフォームとなったということなのではないだろうか。
だとしたら、ネットワークにとってはこれらダウンロード販売の試みはあまり成功しない方がいいのかもしれない。