Long Tailのビジネスモデル

zakm2005-12-16

VentureBlogから
Where's The Money In The Long Tail?

"Long Tail"というのは、Wiredの編集長であるChris Andersenが昨年書いた記事で提唱している、インターネット時代の新しいビジネスモデルのコンセプト(詳細はこちら)で、それ以来インターネットビジネス業界に大きな影響を与え続けている。

このブログを書いているのは、August CapitalというベンチャーキャピタルのDavid Hornikという人で、インターネット関連の投資案件を主に扱っている人である。彼のところに最近来る案件は、Long Tailという言葉が出てこないことがないくらいだという。

彼のブログの記事を要約すると、Long Tailで儲けるには2つの方法しかない。それはAggregatorになるか、Filtererになるかであると。しかも、どちらかだけでビジネスを成り立たせることは難しく、両方持っていなければならないだろう、というものである。

この観点から、テレビ・ビデオのLong Tailのビジネスが今後どうなっていくのかをちょっと考えてみたい。

最近Googleなどのサーチエンジンがビデオに力を入れ始めている。いずれビデオコンテンツはインターネットを通じて配信されるようになり、ケーブルや衛星放送などのいわゆる中間業者を飛ばしてユーザーが直接インターネットでGoogleを使い、映像を自由に探して手に入れられるようになる。こういった主張はまっとうに聞こえはするが、現実的にはそう簡単にはいかないだろう。

Aggregatorとして成り立つためには、その分野のあらゆるコンテンツを持っている必要がある。現在ケーブルや衛星放送で見ることのできるコンテンツが、全てインターネット経由で見られるようになるためには、コンテンツホルダーが完全にそれをインターネット上で開放しなければならない。しかし現実にはコンテンツホルダーの間に、根強いインターネットに対する警戒感があるのは周知の通りで、これが完全に払拭されるまでには相当な時間がかかるはずだ。

最近インターネットによるiPodへのテレビ番組配信が始まったではないか、という人がいるかもしれない。しかし、これはコンテンツホルダーにとっては、画像クオリティの低いプラットフォームなのでそれほどPiracyのリスクを取ることなく、かつインターネットも考えていますよ、というデモンストレーションをするのには格好の実験台だったのではないだろうか。

一方で、Comcastなどのケーブル会社は、AggregatorとしてTailの部分にあたるニッチなコンテンツの充実につとめている。Comcastのビデオ・オン・デマンドでは、ギターのレッスンやカラオケなどにはじまり、ローカルに特化したコンテンツ、例えば地元の高校のフットボールの試合や、ローカルの独身の男女のビデオを投稿させてオンデマンドで配信するデーティングサービスまで手を広げてきている。

あとは、現在彼らに決定的に欠落しているFilteringの部分で展望が開ければ、形としてはLong Tailのビジネスモデルが出来上がることになる。

果たしてどちらの動きの方が早いだろうか?