カスタマーサービスを考える

今週はバケーションで、Los Angeles郊外Dana PointのリゾートホテルSt.Regisに泊まっている。ここにはもう一つカスタマーサービスでは有名なRitz Carltonがあるのだが、St.Regisも競争しているだけあって負けていない。非常にサービスが行き届いていて、何をするにもとても気持ちがいい。
このホテルのラウンジに置いてあったFast Companyの1−2月号を読んでいて、たまたまカスタマーサービスに関する記事があったので、少し考えてみた。

記事によると、多くのコールセンターのオペレーターの給与体系が、一つの案件に対して一定金額が払われるようになっているため、オペレーターは一つの案件になるべく時間をかけないよう、マニュアル通りの受け答えをするだけで、少しでも多くの案件を処理しようとする。オペレーターにとって、一つの案件に時間をかけて顧客が本当に困っていることを親身になって解決しようというインセンティブがないのが現状だという。

私自身も電話会社やケーブル会社のサポートと何度もやりとりをしたことがあるが、たいてい要領を得ない。まさにマニュアルに書いてある原稿を読んでいるだけで、こちらの問題をきちっと理解しようとしない。同じ案件でも電話をするたびに担当者が変わるので、毎回長々と説明をしなければならない、などなど、不満を挙げたらきりがない。
少し前に買った某メーカーのワイヤレスルーターのサポートもひどかった。インドにカスタマーコールセンターを移転させた会社だったのだが、オペレーターのアクセントがひどくて何を言っているのかさっぱりわからない。

一方でホテルの場合、お客に喜んでもらうことが全てと言っても過言ではない。気持ちのいい経験をしたお客はまた戻ってきてくれる。彼らが優秀なスタッフを雇い、顧客サービスに力を入れるのは当然のことといえる。これは他の業種でも全く当てはまる話なのではないだろうか?

モノやサービスを売る業種において、広告やテレセールスなどには力を入れるのに、カスタマーサービスに力を入れないのは全く本末転倒である。Best BuyがやっているGeek Squadのような商売が繁盛するのは、結局メーカーのサポートが頼りにならないからであり、メーカーはこの時点で大きなビジネスチャンスを失っていることになる。

お客の方からわざわざコンタクトしてきてくれる機会というのはそうそうない。コストダウンよりも、このせっかくの機会を生かす方法をもっと考えるべきだろう。