OLNはESPNになれるか?

zakm2005-12-25

今回もまた1−2月号のFast Companyから。[The Next ... ESPN]

ESPNといえばご存知スポーツ専門局。メインのESPNに加え、ESPN2、ESPN Classic、ESPN Newsなどのチャンネルを持つ一大メディアである。地上波では放送していないので、ESPNを見たいがためにケーブルや衛星放送に加入している人も多いだろう。

この巨人に対して、静かに戦いを挑もうとしているのがOLNである。

OLNはもともとはOutdoor Life Networkとして知られるチャンネルで、釣りやハンティングなどのアウトドアスポーツを扱うニッチなチャンネルだった。番組の平均視聴率はたったの0.1%。とはいえ、加入者ベースは6400万世帯。ESPNの8000万世帯には及ばないものの、アメリカの全世帯の半分以上が視聴可能なチャンネルである。

OLNが最近これまでのニッチコンテンツに加え、メインストリームのコンテンツを手に入れつつある。昨年のツール・ド・フランスカバレッジを始め、今シーズンからは4大メジャースポーツの一角、NHL(National Hockey League)の放映権を$135 millionで獲得した。

このOLNの親会社がComcastである。Comcastといえば、昨年Disneyを買収しようとしたことで話題になった。あまり知られていないかもしれないが、ESPNはDisneyの傘下である。ケーブルや衛星放送業者は、ESPNの視聴世帯あたり毎月$3もの放映権料を払っていると言う。CNNが$0.25というから破格の値段である。おおざっぱにComcastESPN視聴世帯を20 millionとして計算すると、毎年ComcastがDisneyに払っている金額が、ESPNの放映権だけで$720 millionという巨額である。Disneyはこれに加え、ネットワーク局のABC、映画というコンテンツも持っている。

Comcastは明らかにコンテンツを手に入れようとしている。ESPNを手に入れることができないのなら、それに対抗するチャンネルを作ろうということだろう。しかしESPNのレベルに達するのは容易ではない。ESPNは来年からNFLのMonday Night Footballの放映権を手に入れた。この値段が年間$1.1 billion。OLNが手に入れたNHLの$135 millionとは比べ物にならない。

テレビのHD化が進んで、一番魅力的になったのはスポーツコンテンツである。今後Comcastが本気で仕掛けてくることになれば、一番得をするのはNFLMLBなどのメジャースポーツを所有する団体なのかもしれない。