Time WarnerとAOL

zakm2005-12-29

今週のBusiness Weekに"10 Deals the New Year May Bring"という記事があった。

このうちいくつか私自身もウォッチを続けている話があったので、書いてみようと思う。
今日はAOLについて。

Time Warner spins off AOL
先日GoogleがAOL株の5%を取得したが、これはどちらかというと既存のAOLとのビジネスを守るための投資だったと見ていいと思う。AOLのコンテンツそのものはGoogleにとって価値があるのかは疑問。何人かのアナリストも指摘していたが、Googleはこれまでサーチの結果において、コンテンツには中立であった。もしこれがAOLのコンテンツを優先するようなサーチ結果を出すようになってしまうと、逆効果になりかねない。Google loyalなユーザーが離れてしまう可能性がある。
AOLのコンテンツが価値を持つのは、Yahoo、MSNなどGoogleと差別化をはかりたいポータルにとってであろう。彼らは今回のGoogle騒動では負けたものの、あきらめない可能性はある。

しかし、そもそもAOLスピンオフの議論がされる根底にあるのは、親会社Time Warnerがこれまで全くシナジーを発揮できなかったところにある。投資家のCarl Icahnがスピンオフを推しているが、これは今のTime WarnerにAOLを持たせておくよりも、スピンオフしてしまった方が株主にとって価値が上がると見ているからだ。

Time Warnerは非常に大きな会社だ。所有する映画・テレビ・雑誌のコンテンツに加えて、インターネットのAOL、それにコンテンツを配信するパイプとなるケーブル会社まで持っている。にもかかわらず、これまでそれぞれのビジネスユニット間のシナジーがほとんど発揮されることがなかったと言ってもいいだろう。

12月25日のブログComcastがコンテンツを手に入れようとしているという話を書いたが、Time Warnerがやろうとしているのはこれとは全く逆の流れである。せっかく持っているコンテンツとケーブルを分離しようとしている。

Time Warner株は、1年間で12%下げた。ケーブル、AOLのビジネスユニットの分離により株の価値そのものは上がるかもしれないが、メディア会社としてもっと強固なビジネスモデルを構築するチャンスを逃しているような気がする。