ウインドウの話の続き - Netflixの業績発表から

昨日のNetflixの業績発表を受けて、今日Netflix株が15%以上急騰した。
アナリストの予測を上回る業績と、見通しの上方修正が好感された。
今日この業績発表時のカンファレンスコールの筆記を読んだのだが、きのうのウインドウの話、ダウンロード販売の話などタイムリーな話題が豊富だった。ちょっと長いが、興味のある方はぜひ一読されることをおすすめする。
http://internetstockblog.com/article/6120

ここでも触れられているウインドウの話について。
きのうのエントリーでも取り上げたが、CEOのReed Hastingsが述べている通り劇場公開とDVD発売のウインドウはどんどん短くなる方向、そして将来は同時になっていくのではないかと思われる。家庭のテレビの大画面化、ホームシアターシステムの普及、そして次世代ディスクの登場によるHD化と、家庭内で劇場に迫るクオリティの映画が楽しめる環境はますます整ってくる。ウインドウが短くなることによって劇場側の収益が減ることはあっても、スタジオ側の収益が犠牲になることはおそらくない。しかも、これまで劇場公開時とDVD発売時と2回プロモーション活動をしなければならなかったのが1回で済むのだから、トータルで見ればおそらくスタジオにとって都合はいいはずだ。

昨年の夏にディズニーのボブ・アイガーが、劇場公開とDVDのリリースのウインドウを短縮することを考えるべきだという発言をして劇場側のひんしゅくを買ったが、おそらくこの動きはスタジオ側主導で段階的に進められるのだろう。

この動きが加速するほどNetflixはその恩恵を受けることになる。JPモルガンのレポートによれば、劇場公開とDVDのリリースが同時になることによって、DVDレンタル市場は50%以上伸びるとしている。

もう一つ触れられていたのが、ダウンロード販売のタイトルとウインドウの関係の話。
1月3日のVongoの話の中でも触れたが、ダウンロード販売で最も大きなセレクションを持つMovielinkでさえ2,000タイトルしかないのに対して、Netflixは55,000タイトル。この理由もウインドウのシステムにある。

ウインドウの下流の方でスタジオがケーブル局や、ネットワーク局に映画を売るときに、長期のExclusive契約をする。そうするとこのウインドウに入ってしまった映画はダウンロードサービスで扱うことができなくなってしまうのである。ダウンロード販売がNetflix並みのセレクションを持とうとすると、最上流のDVDと同じウインドウに入らなければできないわけで、これはきのう述べた理由によりすぐには変わらない。

先日のCESにおいてビル・ゲイツは、DVDのようなディスクメディアはいずれいらなくなるというような発言をしていたが、これはマイクロソフトがコントロールできる話ではなく、スタジオがそうしようとしない限り起こりえない話なのだ。