DVRの普及でテレビ番組は変わるか？
Business Weekの記事から。
Watching the TiVo Effect
http://www.businessweek.com/investor/content/mar2006/pi20060302_999595.htm
DVRの普及と共にテレビＣＭのインプレッションが保証されなくなってくると、ネットワークやケーブル局の広告収入に影響が出てくるだろうというもの。現在はまだＤＶＲの普及率が１０％程度だが、これが２０１０年には５０％になるという予測もあり、現在の広告モデルがそのまま２０１０年にも続いている可能性は低い。
こちらでTiVoのシーズンパスでの録画番組のランキングが見られるが、そのほとんどがプライムタイムのネットワーク人気番組である。
2/20のエントリーでも触れたが、ネットワークの人気番組はほとんどがＤＶＤで見ることが出来るようになる。もしこれらが２０１０年に十分なＴＶＣＭスポンサーが集められなくなった時にどうなるか？
テレビにとってのＤＶＲの台頭というのは、映画の例で言えばＤＶＤの台頭と同様に考えることができるのではないかと思っている。以下に考えられるシナリオを挙げてみる。
シナリオその１ - ＤＶＤへのシフト
これまでにも何回か触れたが、映画の劇場公開とＤＶＤのリリースのウインドウは最近益々縮まってきており、劇場公開がＤＶＤ発売に向けてのプロモーション的な意味合いが強くなってきている。劇場公開の話題が冷めないうちにＤＶＤをより多く売りたいからだ。マイナーな映画では既に同時リリースも試されている。
またディズニーのアニメーションの続編など、ＤＶＤだけでリリースという作品もある。
最近ではコメディー映画「American Pie」の続編も、劇場公開をせずにＤＶＤだけでリリースされ、１週間で１００万枚以上を売り上げた。
http://www.comingsoon.net/news/dvdnews.php?id=12561
これは劇場収入に頼らなくても、ある程度の認知があればＤＶＤだけでも作品として十分な収益を得ることができるという例だ。
もしかしたらテレビ番組でも同様なモデルは可能なのではないだろうか？
例えばオリジナルのシリーズはこれまで同様にネットワークのプライムタイムで放送する。これは映画で言う劇場公開の位置づけ。これで人気が出て認知度が上がったシリーズについては、次のシーズンはＤＶＤのみのリリースにする。最近ＮＢＣがドラマシリーズ「Conviction」の初回のエピソードのみiTunesで無料でダウンロードできるというのをやっているが、
http://www.mediaweek.com/mw/news/interactive/article_display.jsp?vnu_content_id=1002035559
同様の手法でＤＶＤのプロモーションとすることも可能だろう。
こうすることで、ネットワークでの放送でこれまで同様の高額の広告収入が期待できなくても、その分をＤＶＤで埋め合わせるというシナリオ。
シナリオその２ - 番組の低予算化
http://www.nydailynews.com/front/story/397167p-336664c.html
"The market forces that exist today make it unrealistic to spend $200 million on a movie. Those movies can't make their money back anymore. Look at what happened with 'King Kong." "In the future, almost everything that gets shown in theaters will be indie movies. I predict that by 2025 the average movie will cost only $15 million."
巨額の予算をかけて劇場公開する映画が、だんだん興行収入で元がとれなくなってきている。ルーカスのこの発言は、利益の源泉がＤＶＤに移るというのではなく、映画制作の予算そのものが縮小していくだろうというもの。
これが本当に起こるのかどうかは別として、テレビに当てはめてみるならネットワークのドラマなどが低予算化していくということもありえる。人気コメディの「Friends」の最後のシーズンでは、ジェニファー・アニストンがエピソードあたり１００万ドルのギャラを貰っていたり、劇場映画並みの作りで人気の「Lost」ではエピソードあたりの制作費が３００−４００万ドルにもなるといったようなことがあったが、もしかすると５年後には難しくなっているのかもしれない。
