ビデオの無料ストリーミング配信の動き

これまでインターネット上のビデオ配信に関しては、iTunesでのダウンロード販売の話題が多かったのだが、最近無料のストリーミング配信の方もいろいろ動きがあるので、いくつか紹介しよう。

まずはTechdirtの記事から。
CBS Finds Ads Do Better Than Subscriptions
http://techdirt.com/articles/20060314/0835216.shtml

NCAAのバスケットボールトーナメントが行われるのが毎年3月。"March Madness"と形容される通り、全米のカレッジバスケットボールファンを熱狂させるこのイベントを、CBSは過去3年間オンラインストリーミングとDirecTVでのPay-per-viewを有料で提供してきた。

これを今年から広告付きの無料ストリーミングに方式を変更したところ、既に昨年の加入者からの収入を上回る金額の広告収入をあげているという。1月11日のエントリーで、視聴者は有料で広告なしのコンテンツよりも、無料で広告付きの方を好むという調査結果を紹介したが、これを裏付けるいい例だろう。

こちらはABCに関するVarietyの記事。
ABC downloads plan to upload segs on Web
http://www.variety.com/article/VR1117938997?categoryid=14&cs=1&nid=2570

ABCの親会社ディズニーのCEOボブ・アイガーがアナリスト向けのカンファレンスで、MyABCと呼ばれるサービスの話をしているが、これは広告付きで無料でプライムタイムの番組をインターネット上で見ることができるようになるというもの。この記事では詳細には触れられていないが、どうやらこれもストリーミングになる模様。

このサービスでiTunesで既にダウンロード形式でオファーされているコンテンツと同じものが提供されるのかどうかはまだわからないが、もしそうなるとすれば、ダウンロード形式の方はiPodに転送してみることができるという点においてプレミアムがとれるかどうかということになるのだろう。

AOLもワーナーブラザーズと組んで、昔のテレビシリーズを広告付きで無料でストリーミングするIn2TVというサービスを始めている。
http://television.aol.com/in2tv

このサービスは、現在シンジケーションもされていない古いライブラリをインターネットで再利用しようという試みだろう。

これらの無料のストリーミングサービスがビジネスとしてどれほど成功するのかというのは、おそらくすぐにはわからないだろうが、個人的には大きなインパクトのあるものにはならないのではないかと思っている。インターネットにつながったテレビがほとんどない現在、パソコンの画面で長時間テレビ番組を見るという行為が果たしてどこまで受け入れられるのか?オフィスで仕事をしながら小さいウインドウで見るというのは意外にあったりするのかもしれないが、それはそれではやってしまうと問題になるだろう。

現在インターネット上で見られるビデオで人気を集めているのは明らかにショートコンテンツである。こちらは逆にテレビでは見ることのできないコンテンツや、ハイライトだけを選んで見ることができるといったようなインターネットならではの利点を生かしているので、ビジネス的にはこちらの方が大きくなるのではないだろうか。

インターネット上のショートコンテンツについてはまた別に詳しく書こうと思っている。