テレビ番組のスタイルの変化とDVDの関係

3月24日付けのWall Street Journalの記事に、最近のテレビドラマのスタイルの変化の話があった。
記事によると、FOXの「24」が成功したことにより、1話で完結するスタイルから、シーズンを通してストーリーが続くタイプのドラマが増えてきているという。

これまでのアメリカのテレビ番組で主流を占めていたのは、圧倒的に1話で完結するタイプだ。Situation Comedy = Sitcomはまさにその典型だったし、1時間のドラマにおいても、現在でも視聴率トップを誇る「CSI」や、ちょっと前では「X−File」、それにアメリカでは根強い人気を誇る裁判物のドラマなどもこのタイプだ。

一方の「24」のようなタイプはこれまでは少数派だった。1話で完結するタイプと違って、シーズン途中から見始めてもストーリーについていけないし、シーズン始めから見たとしても途中のエピソードを見逃すと次のエピソードのストーリーがわからなくなる。「24」を始めた当初は、FOXもエピソードを逃した視聴者が戻ってこなくなるのではないかと心配していたらしい。

さらに「24」では、シーズンを越えても話が続く。現在「24」は5シーズン目だが、主人公以外の登場人物も、ほとんどが以前のシーズンからの引き続きの出演であるだけでなく、以前のシーズンに起こったことを知らない視聴者には、現在のシーズンで起こっている話の背景がわからない。

こうした視聴者泣かせの作りになっている「24」なのだが、これが逆に儲かる仕組みであることにハリウッドは気付いたようだ。

「24」のDVDはこれまでに300万枚売れたという。これにレンタルも加えると相当の利益がDVDから上がっているに違いない。「24」の場合、多くの人が現シーズンの話に追いつくために以前のシーズンのものを買っているという。これは他の1話完結型のものとは違って、シーズンを重ねるごとに新しく獲得した視聴者が高い確率で過去のエピソードを見たくなる仕掛けになっているわけだ。

2006年の1月から2月の2ヶ月間だけを見ても、テレビ番組のDVDは1300万本売れた。これは前年同期間日で46%増。テレビ番組の収益性を考えた時に、DVDはますます重要な位置を占めるようになってきているようだ。