Cablevisionの新しいDVRサービス

New Yorkエリアを中心に展開する中堅ケーブルテレビ会社のCablevisionが新しいDVRサービスを展開することを発表した。
Cablevision tests 'remote storage' DVR use
http://www.usatoday.com/tech/products/services/2006-03-27-cablevision-dvr_x.htm

従来のDVRは、家庭のSTBのハードディスクに番組を録画するものであったが、この新しいサービスではケーブルのサーバー側に番組を保存しておくという全く新しい方式。ユーザーは80GB分の容量が割り当てられ、2番組同時録画や、CMスキップまで従来のDVRと同様のサービスを受けることができる。

この新しい方式を取ることによるオペレーター側のメリットは大きい。

これまでは、DVRの加入者に対しては受信機のみのSTBよりも高価なSTBを各家庭にインストールしに行く必要があったのだが、これをしなくて済むようになる。

この話題はDigital Hollywoodのセッションの中でも取り上げられていたが、皆興味を持って成り行きを見守っているという感じであった。これはSTBのベンダーにとっては嬉しくない話なのだが、CablevisionにSTBを売っているScientific Atlanta(Ciscoに買収されたばかり)の人は、「面白いが、リモコン操作に対してどれくらいのスピードの反応が実現できるのかが疑問」とコメントしていた。STB側のDVRであれば、反応は瞬時だが、サーバーとのやりとりが介入することでこれが遅くなる可能性はある。実際私が使っているComcastのVODで早送りなどの操作をしようとすると、やはり反応が鈍い。(とは言っても使っているMotorolaのDVRの反応はもっと鈍いこともあるのだが。。) 実際にどの程度の使い勝手になるのか、試してみたいものだ。

USA Todayの記事にも触れられているが、少し前にTime Warner Cableも同様のサービスを展開しようとして、中止したことがある。この時はサーバー側に番組を録画するということに著作権上の問題があったからということだったのだが、今回Cablevisionは、著作権上の問題はないと言っている。

この新しい方式にはケーブル最大手Comcastの幹部も興味を示しているようだ。
Comcast sees greater use of network DVRs
http://www.detnews.com/apps/pbcs.dll/article?AID=/20060331/BIZ04/603310301/1013/BIZ04

今回Cablevisionは当初80GBの容量しかオファーしていないが、サービスのTier付けをすることによって、追加料金でもっと大容量のサービスをオファーすることもできる。理論的には例えば数週間分の全ての番組へのアクセスを可能にすることもできるわけで、そうなってくるとDVRというよりも、VODの世界になってくる。最近ではネットワークの人気番組のオンデマンド配信の動きが盛んになってきているが、こちらはユーザーがお金を払うようになっているの。ネットワークDVRサービスでは本質的には同じことができてしまうわけだから、オンデマンドのビジネスには当然影響が出てくるだろう。

また関連する動きがあれば取り上げたいと思う。